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毎日新聞 2012年3月11日 地方版
東京大空襲:67年 「3・10」忘れない 都内で犠牲者追悼行事 /東京
(h)ttp://mainichi.jp/area/tokyo/news/20120311ddlk13040091000c.html

 10万人もの命が奪われた東京大空襲(1945年)から67年となった10日、都内で犠牲者を追悼する行事があった。

 墨田区の都慰霊堂で営まれた「春季慰霊大法要」(都慰霊協会主催)には、秋篠宮ご夫妻や石原慎太郎知事、遺族や体験者ら約320人が参列した。この日、慰霊堂には約1万5000人が訪れ、犠牲者の冥福を祈り、焼香や献花をした。

 中学生の時に向島墨田区)で大空襲に遭ったという田中清さん(80)=静岡県三島市=は、はじめて法要に参列。「家にあった小さな防空壕(ごう)ではだめだと思い、母と2人で今の押上駅付近にあった沼の辺りに命からがら逃げて助かった。多くの友達や近所の知り合いを亡くした。2カ月後の空襲では姉も失った。67年たっても悲しい気持ちは変わらない」とうつむいた。

 新宿区の都庁第1本庁舎5階大会議場では「都平和の日記念式典」があり、約450人が黙とうをささげた。

 石原知事は「空襲で焦土と化した東京が戦後何もない中から奇跡的な復興を遂げたように、国民の力と英知を結集して(東日本大震災の)被災地の復興を成し遂げていかないといけない。それが先の大戦で犠牲になられた方々の切なる願いだ」とあいさつした。

 また、当時15歳で、門前仲町江東区)で大空襲に遭った西村信友さん(82)=羽村市=は、自分の家の防空壕から外に逃げるように促した近所の女性2人が犠牲になった体験を語り「3月10日を気付かずに過ごしたことはなかった」と話した。【柳澤一男】

〔都内版〕