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東京新聞 TOKYO WEB
浜岡再稼働 県民7割反対 8割超 全面停止評価
2012年3月13日 朝刊
(h)ttp://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012031302000033.html

 全面停止している中部電力浜岡原発静岡県御前崎市)の再稼働について、静岡県民の七割近くが反対であることが本紙と静岡大の共同調査で分かった。県議と市議、町議も六割近くが反対だった。県民の八割以上が昨年五月の全面停止を「よかった」と評価。61%は原発を「少しずつ減らす」べきだと答え、「ただちにやめる」と合わせると、脱原発を支持する意見は八割近くに上った。 

 調査は今年二月、無作為に選んだ県内の有権者二千人と議員七百六十九人に質問書を郵送して行い、首長には手渡しした。回答の回収率は県民が79%、議員が70%で、首長は全員から回答を得た。

 浜岡原発は、昨年五月に菅直人首相(当時)が「三十年以内にマグニチュード(M)8程度の東海地震が発生する可能性が87%」あることを理由に、中電に全面停止を要請。中電は、営業運転中の三基(うち3号機は定期検査中)をすべて停止した。

 この判断を県民の42%が「よかった」と回答。「ある程度よかった」と合わせて86%が支持した。議員も81%が同様に支持した。

 安全対策を前提に再稼働を支持する意見は県民の24%と少なく、「停止を継続」「ただちに廃炉」が計68%と多くは再稼働に反対だった。再稼働の是非をめぐる住民投票には、57%が賛成した。

 原発から半径三十キロ圏の十一市町の首長のうち、再稼働に賛成するのは地元の御前崎市長だけで、八市町長は反対した。県内全体では、三十五市町のうち六割の二十一市町の首長が否定的だった。

 再生可能エネルギーは、県民の七割が「電気料金があまり上がらない範囲で進める」を支持。「電気料金が上がっても進める」は25%にとどまり、現実志向がうかがえた。

 震災で被災した岩手県がれき処理の受け入れについては、県民の75%が賛成し、反対は四人に一人にとどまった。賛成のうち半数以上が「被災地が困っている」ことを理由に挙げた。反対の理由は「微量でも放射性物質があるかもしれず、健康への影響が心配」が最多の43%だった。


asahi.com
原発再開「反対」が57% 朝日新聞世論調査
2012年3月12日21時54分
(h)ttp://www.asahi.com/national/update/0312/TKY201203120551.html

 朝日新聞社が10、11日に実施した全国定例世論調査(電話)によると、定期検査で停止中の原発の運転を再開することに57%が反対し、賛成の27%を大きく上回った。原発に対する政府の安全対策については「信頼していない」という人が80%に上った。

 原発の再開賛否は、男女の違いが目立つ。男性は賛成41%、反対47%とそれほど賛否の差がないのに対し、女性は賛成15%、反対67%で差が大きい。

 現在稼働中の原発は、全国で2基。原発の停止による経済への影響を「心配している」人は、「大いに」と「ある程度」を合わせて75%に達したが、こうした人たちでも運転再開に賛成は31%にとどまり、反対54%の方が上回った。
図URL
(h)ttp://www.asahi.com/national/gallery_e/view_photo.html?national-pg/0312/TKY201203120588.jpg



社説〔3月14日)
原発世論調査―国民の不信は当然だ
(h)ttp://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2
 朝日新聞が大震災から1年で実施した世論調査は、原発への厳しい世論を映し出した。

 定期検査で止まっている原発の運転再開には、57%が反対した。とくに女性は賛成15%に対し、反対が67%にのぼる。

 原発を段階的に減らし、将来はやめることにも、全体の70%が賛成している。

 なかでも注目すべきは、原発に対する政府の安全対策への信頼のなさだ。「あまり信頼していない」「まったく信頼していない」で80%に達する。

 根っこにあるのは「これまで原発を動かしてきた人」への不信感の大きさだろう。

 それなのに、原子力事業者の姿勢も、規制行政のあり方も根本から改まってはいない。

 いまも「規制」を担うのは、原子力安全・保安院原子力安全委員会だ。4月にできるはずの原子力規制庁は、法案審議のめどすら立っていない。

 各原発の安全対策はまだ部分的だし、周辺地域の防災対策の見直しにいたっては、ほとんど手つかずの状態だ。

 その一方で、再稼働に向けたストレステストは粛々と進む。報告書の中身に疑問が指摘されても、関西電力大飯原発3、4号機については近く「審査は妥当」との判断が出そうだ。

 これでは、政府が現状をろくに改善しようともしないで、政府の安全対策を信頼しろと言っているようにしか見えない。

 調査からは、このまま54基の原発がすべて止まりそうな現状への戸惑いも浮かんでいる。

 再稼働に反対の人も、脱原発に賛成の人も、どちらも原発停止による経済への影響については、「大いに」「ある程度」をあわせて約7割が「心配している」と答えているのだ。

 安全性を最優先にしつつ、経済活動に負荷をかけすぎない目配りをした脱・原発依存を進めてほしい――。多くの国民は、こんな冷静な視点で原発を見すえているようだ。

 野田政権は、この世論に真剣かつ具体的に応えるべきだ。

 まず、この夏の需給対策を早く打ち出すことだ。地域ごとの電力供給力を、第三者をまじえて精査し、データを公開する。あわせて料金やサービスの仕組みを工夫し、節電を促す。

 それでも電気が足りないとなったとき、初めて最小限の再稼働を検討する必要が出てくる。しかも、それは老朽化した原発廃炉と同時並行の話でなければ説得力などない。

 こうした手順を踏まずに、いまの「まず再稼働ありき」では必ず行き詰まる。


ブック・アサヒ・コム
日本の核開発 1939〜1955 原爆から原子力へ [著]山崎正